短期の人材派遣の仕事と派遣の条件
短期の人材派遣は、短期間限定で派遣する仕事の形態を指します。通常は30日以内の仕事が多いですが、1カ月から2カ月未満、数週間というケースもあります。日雇い、単発、スポット派遣なども含まれ、1日単位や数日程度の仕事も多く、いろいろな職種があります。日雇い、単発、スポット派遣はイベントスタッフやお中元お歳暮の商品梱包など倉庫内作業の業務が多い傾向にあります。またイベント設営や警備、チラシ配布などの仕事がありますが、短期の人材派遣になると職種がもっと幅広くなります。例えばクリスマスなどイベント商戦の販売業務、年賀状データ入力、確定申告関連業務などがあります。
短期の人材派遣は企業にとって求人広告を出したり、採用試験や面接を実施したり、働く人を採用するための煩雑な手続きを省略できるという大きなメリットがあります。そのため、会社の繁忙期や新しい事業を手掛ける際に人員不足を解消することができます。ただ、派遣社員にとっては不安定な雇用となるため、特に日雇い派遣については2012年に施行された改正労働者派遣法で既定の条件を満たす必要があることが義務付けられています。
その条件は、60歳以上の人、雇用保険に加入していない学生、500万円以上の世帯収入があり生計者でない人、年収500万円以上で副業として行う人のいずれかにあてはまることです。学生の場合は親が生計者となり、本人の収入は生活を左右しないとし、日雇い派遣として働くことができます。500万円以上の収入がある世帯の扶養家族の妻や、学生の子ども、60歳以上の親も働くことが可能です。また、年収500万円以上の収入があれば、派遣の仕事が終了しても生活に大きな支障はないとし、日雇い派遣として働けるようになっています。
短期の人材派遣のメリットは自由度の高さ
短期の人材派遣のメリットとして、短期間や短時間から可能なお仕事も多くあるので、自分の都合に合わせて働き、収入を得られる点が挙げられます。転職活動中で次の就職先を見つけるまでのつなぎの仕事が必要な場合や、旅行や留学費用などまとまった資金が必要なときなど、いろいろな場面で短期の人材派遣を活用することができます。また、お中元お歳暮関連業務や確定申告関連業務など、毎年同じ時期に発生する業務も多いので、一度仕事を経験すると翌年から同じ仕事をする際にスムーズに対応できるようになるというメリットもあります。
1日単位で仕事ができる日雇い派遣なら、興味のある仕事に気軽にチャレンジすることができます。最初から長期の人材派遣として契約すると仕事を続けられるか心配という方も、ジョブトレーニング感覚で働くことが可能です。
学生やフリーターの場合、まだやりたい仕事が見つからない、自分に向いている仕事が分からないという人も、日雇い派遣で興味のある仕事をいろいろ経験するうちに、自分に合った仕事を見つけられる可能性があります。
お試しで働いた後、自分に合うと思えば長期の人材派遣の仕事を探すことも可能です。授業や仕事の休日を有効に活用したい、子どもの幼稚園のお迎えや学校の行事に合わせて働きたいなど自由度が高いところが魅力です。長期の派遣とは異なり、単発の派遣は職場の人間関係に悩むことが少なく、日払いや週払いを採用している派遣先であれば、給料がすぐに受け取れる点もメリットです。
短期の人材派遣は不安定な収入になりがち
短期の人材派遣のデメリットとして、収入が安定しないことがあります。あくまで単発のスポット的な仕事なので、1年を通じ、継続して仕事があるわけではなく、働き続けることが難しい形態です。そのため、短期の人材派遣の仕事で家計を維持することは困難で、生計を支えるための仕事としては向きません。特に日雇い派遣の場合は就業日数が1日から数日と短いので、期間が終了したら新しい仕事を見つけなければならない手間もかかります。
また、短期の人材派遣は長くても2カ月ほどで、大半は30日以内とごく短い期間であるため、業務の経験を積むことができないという特性があります。仕事の経歴が今後の就職や転職活動にプラス評価されて活きてくるということは、あまり期待できないでしょう。特に日雇い派遣において、数日の勤務では履歴書や職務経歴書に記載できる経歴とはなりません。短期や日雇いの派遣は確かに仕事の経験は増やしてはくれますが、キャリアアップにつながることは期待できないと考えておく必要があります。
転職活動に活かすためにキャリアアップを目指したいと考えるなら、数ヶ月から数年間同じ職場で仕事を経験することをおすすめします。日雇い、単発、スポットの人材派遣の仕事がおすすめの人は、留学や旅行費用、資格試験を受けるための資金、趣味や遊びなどのためにまとまったお金が必要な学生か、休日をフル活用して収入アップしたいサラリーマン、子育てや介護のために長期で働けない主婦などです。短期の人材派遣のメリットとデメリットをきちんと理解して、自分自身に合わせた働き方をしましょう。